本記事ではBIM/CIMモデルに付与する属性情報について、4段階の種類や分野別の具体例を解説します。本記事を読めば、そもそも属性情報とは何か、どのような対応が必要か全体像を把握できるでしょう。また、分野別の具体的な属性情報もガイドラインに沿って紹介していますので、ぜひ本記事を参考に属性情報の理解を深めてください。
概要:属性情報とは?なぜ必要?
BIM/CIMモデルとは、対象とする構造物等の形状や構造を3次元で立体的に表現した「3次元モデル」に、「属性情報」や「参照資料」といった情報やデータを組合せた、3次元データ全体を指します。
属性情報とは、このBIM/CIMモデルのなかでも、構造物を構成する部品や部材などに関する情報で、3次元モデルに付与する情報のことをいいます。
例えば、部材等の名称や形状、寸法、製品等の規格や仕様も属性情報に含まれますが、 資材の数量や単価といったコストや管理に関する情報も属性情報に該当します。
これらの属性情報を含んだBIM/CIMモデルは、さまざまな解析やシミュレーション、評価、検討の際にツールとして活用できるため、建設生産・管理システム全体の効率化・高度化が期待されます。
基準類:どのような対応が必要?
属性情報に関わる基準類
BIM/CIM活用業務では、成果品となる3次元モデルへの属性情報の付与が必要です。具体的な対応については、令和4年度のBIM/CIM活用業務(詳細設計)で適用が必須となった「3次元モデル成果物作成要領(案)」 を確認しましょう。
本要領では3次元モデルに付与する属性情報の要件について10ページにわたって詳しく定めており、さらに詳細については 「(付属資料1)3次元モデル成果物作成要領(案)における属性情報一覧表」にまとめています。
属性情報の設定
同要領では属性情報に関する対応として、オブジェクトは4つの階層構造をもつ3次元モデルで作成し、それぞれの階層を構造全体・構造体・構成要素・部材に分けるよう求めています。
構造全体(階層1)から構成要素(階層3)は属性情報の付与が必須ですが、部材(階層4)は任意となります。また、属性情報の付与が必須となるのは成果品となる3次元モデルの納品時となります。
属性情報の内容:どんな属性情報を付与するか
本章では、各土木分野において、各階層でどのようにオブジェクトを分類し、どのような属性情報を付与する必要があるのか、同要領に沿って解説します。分野ごとの具体例を通して、階層が下がるにつれ、より具体的な属性情報が求められることが分かるでしょう。
道路土構造物
階層別のオブジェクト分類と属性情報
属性情報付与の例
山岳トンネル
階層別のオブジェクト分類と属性情報
属性情報付与の例
橋梁
階層別のオブジェクト分類と属性情報
属性情報付与の例
河川構造物(樋門・樋管)
階層別のオブジェクト分類と属性情報
属性情報付与の例
属性情報を付与する方法
属性情報を3次元モデルに付与する方法は「外部参照」と「直接付与」があります。
- 外部参照:BIM/CIMモデルとリンクする別のファイルに付与する
- 直接付与:BIM/CIMモデルに直接付与する
外部参照では、Excelファイルで外部参照データを作成し、連携することで属性情報の入力や管理を効率化できるツールやシステムなどが各社で開発されています。膨大な属性情報の入力や管理を要する場合、導入を検討してもよいでしょう。
まとめ
本記事ではBIM/CIMモデルに付与する属性情報について、そもそも属性情報とは何か、どのような対応が必要となるかを理解していただくため、階層別の属性情報の内容や分野別の具体例を紹介しました。
属性情報は、これまで2次元図面で作成されてきた設計モデルを3次元化するだけでなく、BIM/CIMモデルをツールとして各種の解析やシミュレーションに活用していくために必要となる情報です。ぜひ本記事を通して属性情報に関する理解を深め、BIM/CIM活用にお役立てください。
参考
1)国土交通省「3次元モデル成果物作成要領(案) 令和3年3月」、国土交通省BIM/CIMポータルサイト
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001395713.pdf (2022年3月12日 閲覧)