2024年、Civil 3Dに新機能やアップデートがあり、2025バージョンが更新されました。土木設計のモデリングに不可欠なTINサーフェスの技術が進化し、処理のスピードが向上したことを中心に本記事で解説します。使いやすさや操作性も改善されたので、新たに追加されたサーフェスの詳細レベル設定と合わせて画像を用いて紹介します。
※コリドーやDynamoに関する更新情報については、テキストのみですがわかりやすくまとめました
TINサーフェスの改善・作業性の向上
土木モデリングに欠かせないTINサーフェスの地形データの計算・処理の改善がありました。
- 地形データの取り込みと処理の速度向上
- より詳細な地形分析オプションの追加
- ユーザーインタフェースの改善と操作性の向上
サーフェスモデルの作成と編集がしやすくなり、次のような新機能も追加されました。
低減されたサーフェスの詳細レベルの導入
サーフェスの詳細レベルを「高い・低い」という設定ができるようになりました。大きなサーフェスや重いデータを使って作業する際のパフォーマンスが向上します。
サーフェスの詳細レベルの高い・低いの違いを解説
サーフェスの詳細レベル表示機能は、モデルの正確性とパソコンのパフォーマンスのバランスを選択できる便利な機能です。以下の2つの設定があります。
- 低減されたサーフェスの詳細レベル:ジオメトリの詳細が減少し、必要な三角形の数も少なくなります。システムの負荷が軽減され、パフォーマンスが向上しますが、表示の精度は低下します。
- 高いサーフェスの詳細レベル:ジオメトリの全ての詳細が保持され、多くの三角形が表示されます。表示の精度は向上しますが、システムにかかる負荷が増え、パフォーマンスが低下することがあります。
詳細レベルの設定方法は3種類
TINサーフェスの詳細レベルを設定する方法は3種類あります。
①リボンから設定
TINサーフェスを選択し、専用のリボンの[詳細レベル]パネルから、高い・低いをクリックすれば変更できます。
②TINサーフェスを選択して右クリック
TINサーフェスを選び、右クリックのメニューから「サーフェスの詳細レベル」を変更できます。
③ツールスペースから設定
ツールスペースから、任意のサーフェスを右クリックし、「サーフェスの詳細レベル」を変更できます。
ツールスペースのマークで、サーフェスの詳細レベルが高い・低い状態がひと目でわかるようになっています。以下の赤矢印は高い、青矢印は低い詳細レベルです。
デフォルトでサーフェスの詳細設定を「低い」にする方法
図面の既定(デフォルト)で「低減された詳細レベル」を変更する方法を紹介します。
[ツールスペース]の[設定]タブから、[サーフェス]を右クリックします。
[フィーチャ設定を編集]を選択し、[サーフェスの既定値]にある[既定の低減された詳細レベル]の値を[はい]に設定しましょう。
※ロックの鍵マークをオンにすると、設定が固定できます
[OK]をクリックし、設定を確認して、ダイアログを閉じれば完了です。
コリドー ワークフローの改善
コリドー関連の作業性(ワークフローの効率性)が向上しました。以下は主な改善点です。
- ダイアログボックスの開閉やタブの切り替え、編集後のキャンセル操作が高速になりました。
- コリドー サーフェスの作成の生成速度が以前の3〜4倍向上。コリドーのリージョンのグリップ編集やリージョンの分割・結合などがスムーズに行えるようになりました。
- コリドー再生成の効率向上(コリドー横断ビューエディタ含む)
- 新しいシステム変数により、速度と表示精度のバランスが調整可能になりました。
上記の改善により、大規模なコリドー設計作業でもシステムの負担が軽減され、より迅速かつ効率的に作業が進められるようになります。
Dynamoのアップグレード
Dynamo 3.0.3 へのアップグレードに伴い、以下の機能強化が行われました。
- Package Manager の改善
- パッケージを一箇所で検索・管理できる新しいダイアログボックス
- 他のパッケージとの依存関係をフィルタリングできる検索機能
- パッケージ詳細が確認できるパネル
- 新しいパッケージやバージョンのアップロードが容易に
- インストール済みのパッケージリスト表示
- アップロードしたパッケージのリスト
- パッケージ設定へのアクセス
- ノードと検索の改善
- ノードカテゴリを指定しての検索機能
- 複数行テキストが読みやすくなったWatchノード
- 新しいGateノードとRememberノードで、データの流れと記憶を制御
- ワークスペースとジオメトリ
- ジオメトリのスケーリングに関する警告ではなく情報表示
- オブジェクト結合の更新により、シリアル化解除の古い手法のサポート終了
- グラフの再保存による設定の移行必要性
- 互換性と更新
- 旧バージョンのグラフを再実行時、Civil 3Dで作成されたオブジェクトが複製される問題の対応
上記のアップデートにより、Dynamoの使用効率が向上し、より快適な操作が可能になります。詳細はDynamo BIMの公式ブログを参照してください。
まとめ
Civil 3D® 2025では、TINサーフェスの機能強化が主な改善点として挙げられます。地形データの他、コリドーで作成したTINサーフェスの処理速度も向上し、使いやすくなりました。コリドー自体の作成もしやすくなったため、土木のBIM/CIMモデル作成に役立つでしょう。
Dynamoのアップグレードもありましたので、詳細な活用法なども確認してみてくださいね。次回の更新もお楽しみに。
※参考サイト:Autodesk Civil 3D ヘルプ | Civil 3D 2025 の新機能 | Autodesk